愛してるの一言で。





「まあ...秘密っていう秘密じゃないんだけど。私の推理っていうか...カンっていうか...。」


「なんだよ...秘密じゃねえのか...」


俺はがっくりした。


「はあ?なに?ちょっとエロチックなのを
想像してたんじゃないよね?
渚奈の秘密って言ってもそんな
変態が想像するような話じゃないから。」


「別にそんなこと言ってねえだろっ」


何を言い出すんだ、こやつ...。


「...はいはい。まあいいけど、
渚奈の話ね、
渚奈ってね、なんの情報もないのよ」


「...ん?」


「だぁから、なんの情報もないの!
誕生日も出身中学も何も知らない。
聞いても教えてくれない。
それどころか、変なのよ...。」


「変...?」


「渚奈って本当に渚奈なのかなって思うの。」


「なんだ?それ。意味わかんねえ。」


「うん、あたしも意味わかんない。
私と渚奈は幼稚園から小学校まで
ずっと一緒だった。
でも今の渚奈は何かが違う。
だけど何が違うのかは分からないの。」


「そりゃ...中学で変わったんだろ?」


「そういう『変わった』じゃないのよ。
イメチェンじゃない。
時が変わった...みたいな...。
次元が違うみたいな...。」


「はぁ?お前頭大丈夫かあ?」


「じゃあ、今度聞いてみてよっ
出身中学とか、何型とか。。。
...家族構成とか!」



どき


...確か俺も渚奈に
お姉さんいる?って聞いたよな...


その時、渚奈は
言いたくなさそうだった.....よな...


あれ、確かに
何だろう。

この不自然感...。



「渚奈はこの世の人間なのかな...」



「!?...ばかっ!何言ってんだよ?
お前ら親友だろ?」



「!そうよね...何言ってんだろ?
ごめんごめん!やっぱ無し!
だいたいこの世の人間じゃなかったら
話したり触れたりできる事がオカシイもんね!」


「...おう」


「......うん。」



ああ、なんだなんだ。
意味わかんねえ!


「この話やめようぜ。
なんか...いやだ。変だ、うん。」


「...わかる。やめよ。うん。」

< 70 / 74 >

この作品をシェア

pagetop