愛してるの一言で。
俺だって別れたくない。
これが本心だった。
でも仕方が無い。
俺は来月に引越しが決まっていた。
俺の夢はサッカー選手だった。
サッカーの強豪校が少し遠かった。
いや、少しじゃない。かなり。
どっちにしろ俺は
その高校に行くまでの
付き合いだと割り切っていた。
だが、それも無理だった。
人の心は簡単で。
最初、どうでもよかった奈々も
いつの間にか傍に置いときたい。ずっと。
そんなふうに思える
大切で大事なかけがえのない存在になっていた。
だからこそ泣かせたくなかった。