五つの顔を持つ私
「それに俺、期限付きの転校なんで。すぐにまたいなくなるし」
「そ、そうなのか…」
さっきの怒りはどこへやら、一気にしゅんとなる連。
まるで捨てられた子犬みたいだ。
…単純バカだ。
仁も失笑してるし。
私も嘲りの嘲笑をプレゼントしてあげた。
それにしても…、さっきからずっと仁の視線が痛い。
お願いだから学校で話しかけて来ないでよ…。
そんな私の心の中の祈りは脆くも崩れ去った。
「麗は変装してても綺麗だな」
にっこり爽やかな笑みを湛えた仁の爆弾発言によって。