絶対王子は、ご機嫌ななめ
なんでそんな目を私に向けるの?
たった一瞬だったとしてもそんな目で見られたら、自分の気持ちを抑えられなくなってしまう。
政宗さんには円歌ちゃんという彼女がいるのに、彼を“自分のものにしたい”とまで思っている自分に戸惑いを隠せない。
八歳も年上の政宗さんは、私から見たらずいぶん大人だ。今までにいろいろな経験をしてきているんだろう。それは恋に関しても同じで、酸いも甘いも噛み分けてきているとしたら、私みたいな小娘を扱うなんてお手のものなのかもしれない。
いまどきの恋愛は、彼女がいても他の女の子にキスしてもいいとか?
もしかして、遊ばれてる?
私はこんなにも政宗さんのことが好きなのに……。
でもそれは私の勝手な思い。政宗さんは私の気持ちを知らないのに、そんなことで政宗さんを責めるのはお門違いだ。それに政宗さんは、そんな人じゃないはず。何でも自分が絶対だと思ってる俺様で偉そうな態度をとっても、女性を軽んじる人じゃない。
あーもう、どっちなのよ! 何がなんだか分からなくなってきた。
やっぱりここに来るんじゃなかった。こんな気持ちのまま三日間もここで過ごすなんて、私にできるわけない。
今ならまだタクシーで帰れるとキッチンを出ようとして、その腕を取られる。