絶対王子は、ご機嫌ななめ
「どこに行くんだ? おまえにも手伝わせてやる。さっき買ったマリネとこのキャベツ、そこのガラスの器に盛り付けしてくれ」
なんて間の悪い……。このタイミングで手伝えなんて。
でもせっかく政宗さんが用意してくれているんだ。夕飯だけはご馳走になって帰ることにしよう。
そう決めるとキッチンキャビネットからガラスの器を取り出し、政宗さんからキャベツの千切りを受け取った。
政宗さんが買ったのは、ホタテとサーモンとエビの入った“海鮮マリネ”。それをキャベツの千切りの上にこんもり盛り付けると、立派なマリネサラダの完成だ。
「美味しそう」
ただ言われたとおりに作っただけなのに『我ながら上出来』と頷いていると、政宗さんが今日のメインのパスタを持ってダイニングにやって来た。
「一番手っ取り早い、ペペロンチーノにしたぞ。食べれるよな?」
「はい、大好物です」
パスタ類はなんでも好きで、特にペペロンチーノが好き。にんにくの匂いが食欲をそそる。途端に、お腹がキュルルと音を鳴らした。
うわ、恥ずかしい……。
ボッと顔に熱を持ち、それを隠すように俯いた。