絶対王子は、ご機嫌ななめ
「飽きない……」
それって、どういう意味? 彼女だったら嬉しい言葉かもしれないけれど、彼女じゃない私の場合はちょっとフクザツな気分。
私だって、政宗さんと一緒にいるのは全然飽きない。最初こそ、なんで私が毎日毎日こき使われて、顔を合わせなきゃいけないの?なんて思っていた。いや今だって、召使いのように使われることに関しては納得してるわけじゃないけれど。
でも政宗さんの側にいることは嫌じゃない。むしろ嬉しいというか、幸せとまで思っている自分がいる。
だから政宗さんも同じ気持ちでいてくれたことは嬉しいけれど、でもそれも長くは続かないでしょ? だって、ずっと政宗さんの側にいられるわけじゃないんから。『私を政宗さんの彼女にして下さい』って言っても、それは叶わぬ願いなんだから……。
綺麗にパスタを食べ終えると、フォークを皿の上に置く。水を飲んでふぅと一息つくと、政宗さんを見据えた。
「政宗さん」
「ん?」
ビールを飲みながらまだマリネを食べている政宗さんが、私の声に顔を上げた。
「パスタ、美味しかったです。ごちそうさまでした」
「ああ、それは良かった」
政宗さんが嬉しそうに笑う。その笑顔に後ろ髪を引かれながらも、次の言葉を口にする。