絶対王子は、ご機嫌ななめ

「俺がちゃんと今までの経緯を話して、円歌に連絡しておく。おまえは今のうちに、風呂でも入ってこい」

そう言って政宗さんはリビングから出て行くと、バスタオルとタオルを持ってすぐに戻ってきた。

「他にいるものはあるか? と言っても、女性が使うようなものは、多分ここにはないけどな」

「そうなんですか?」

ここに円歌ちゃんが泊まることはないんだろうか? 今は円歌ちゃんもマンションで一人暮らしだし、政宗さんが円歌ちゃんの家に泊まるとか?

……って、そんなこと私が考えることでもないんだけれど。気になるじゃない? ふたりがどんな付き合い方をしてるのか。

子供っぽい私なんて、到底足元にも及ばない大人同士の恋愛は、一体どのようなものなんだろう。

想像してはひとりで落ち込み、情けなくなってくる。

さっさとお風呂に入ってこよう……。

ソファーから立ち上がり政宗さんを見上げると、バスタオルとタオルを受け取った。

「何、寂しそうな顔して。ひとりで風呂はいるのが怖いなら、一緒に入るか?」

は? 一緒に入る?

政宗さんの口からそんな言葉が飛び出すなんて思ってない私は、口を開けたまま固まってしまった。しかも政宗さんの顔は至極真面目で、冗談で言ってるのか本気なのか全く分からない。

円歌ちゃんがいるんだから、本気なわけないんだけど……。



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