絶対王子は、ご機嫌ななめ

  ありえない展開


そっとリビングのドアを開け顔だけ出して中を伺うと、ソファーで雑誌を読んでいた政宗さんが顔を上げた。

「お、出たか。早かったな」

政宗さんは立ち上がると、こっちへ来いと言わんばかりに手招きをする。

ここに来てパジャマ姿しかもスッピンの自分が恥ずかしくなり、一瞬リビングに入るのを躊躇う。でもずっとここに立っているわけにもいかず、おずおずと政宗さんに近づいた。

「お風呂、ありがとうございました」

近づいたのはいいけれど、なんとなくこっ恥ずかしい。すっぴんもパジャマ姿も、家族じゃない男性に見られるのはほぼ初めてで。

政宗さん、どう思ってるだろう……。

なんて考えだすと、政宗さんと目を合わせられなくなってしまう。

「顔真っ赤にして、どうした? のぼせたのか?」

「え? 真っ赤、ですか?」

政宗さんに言われ、慌てて両手を頬に当ててみると……。

あ、ホントだ。かなり熱い。

恥ずかしくて赤くなってるなんて言えない私は、目を合わせないまま「そ、そうですね」と適当に言葉を返した。



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