絶対王子は、ご機嫌ななめ
「ほら、水」
私の返答を聞いて本当にのぼせたと思った政宗さんが、私の目の前に氷水の入ったグラスを差し出す。
「ありがとうございます」
それを受け取ると、少しだけ飲んで喉を潤した。
のぼせたわけではないけれど、それは私の頬と心のほてりをゆっくり冷ましていく。
なのに政宗さんときたら、いきなり……
「脚、見せてみろ」
なんて言うもんだから、今度は身体まで熱くなってしまう。
「ま、政宗さん。私の脚なんか見て、どうするんですか?」
もしかして、私のパジャマ姿に興奮しちゃった? それとも単純に脚が見たいだけ? 脚フェチだとか?
政宗さんが、そんな性癖の持ち主だったなんて……。
「柚子、おまえさぁ。何か勘違いしてるだろ? なんだよ、その目」
「目……」
「それに、俺から徐々に離れていってる。何かされるとでも思ってるのか?」
「それは……」
思ってます……なんて、政宗さんに言えない!
あからさまに顔をそむけると、そのまま政宗さんに背中を向けた。