絶対王子は、ご機嫌ななめ

政宗さんが性癖の持ち主だと勝手に思い違いをしたのは自分なのに、恥ずかしさのあまり怒りの矛先を政宗さんに向けてしまう。

「政宗さん、それかして下さい。自分でできます」

我ながら可愛くない言い草に、自己嫌悪に駆られる。こんな自分嫌だな……そう思うのに、素直になれない。

「いいから、早く脚出せよ。そのままにしておくと、ばい菌が入ってもっと痛くなるぞ」

「いいですよ。どうせ、大した足してないですし」

「大した足だろうとそうじゃなかろうと、女が足にキズ、残す訳にはいかないだろう」

「まあ、そうですけど……」

嫁入り前、しかもまだ恋愛すらしてないんだから、出来れば綺麗な身体でいたいけれど。

「康成が薬と一緒に、全部用意しておいてくれたみたいだ。おまえから脚出さないなら、俺が……」

政宗さんはそう言うと、私の脚に向かって手を伸ばし始めた。

「ちょ、ちょっと待って! わかりました。出しますよ、出せばいいんでしょ!!」

私の勢いに押されたのか、政宗さんの手がピタッと止まる。

傷の手当をしてもらうだけ。それが分かったのなら、何も躊躇する必要はない。

パジャマのズボンを勢いよくめくり上げると、政宗さんの前に脚をズイッと差し出した。



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