絶対王子は、ご機嫌ななめ
「最初から素直に見せればいいものを。ホントおまえって、反応がいちいち面白いな。母親譲りか?」
「母親!?」
政宗さんと母親は、前に家まで送ってもらった時に会って少し会話しただけ。なのに、そこに気づいちゃうとは……。
見た目も性格もよく似ていて“似たもの親子“なんて、近所でも評判。自分でも最近母親に似てきたと思うけれど、それを認めたくなくて返答に困ってしまう。
「何黙ってるんだ? おまえとおまえの母親、顔も似てたよな。柚子も年取ると、あんな感じになるのかぁ」
「あんな感じって、どんな感じですか?」
そこのところ、すっごく気になるんですけど……。
話しながらも手際よく私の膝のガーゼを取り替えてくれている、政宗さんの目をじっと見つめる。そんな私の視線に気づいた政宗さんが、目だけをゆっくり上げた。
「聞きたい?」
魅惑的な瞳と甘い声。それだけでも胸が高鳴り始めたというのに、政宗さんは右の口角をクイッと上げると意味深な笑みを見せた。
聞きたいような、聞きたくないような……。そんな気持ちにさせる政宗さんの笑みに、私はゴクリとつばを飲み込んだ。