絶対王子は、ご機嫌ななめ

「智之も円歌の前じゃ、かたなしだな」

「政宗さん……」

しゅんと身体を小さくして、情けない声を出す智之さんがちょっと可愛く見えたりして。

でも政宗さんでも、笑うことあるんだ。

政宗さんのことはまだわからないことばかりだけど、クールなイメージが強いからこんなふうに笑うなんて思ってもみなかった。

でも円歌ちゃんのことを“円歌”って呼ぶなんて、ふたりは仲がいいの? 今も仲良く話をしているし、ちょっと妬けちゃうんですけど。

ふたりの会話に入ることもできずに黙ったまま円歌ちゃんの横に立っていると、目線を動かした政宗さんと目が合ってしまった。

「あ……」

「うん? 柚子、どうかした?」

「え? ううん、なんでもない」

「そう? 柚子、政宗さんのことも知ってるんだよね?」

「うん。智之さんを呼んでくれたのが政宗さんで」

「そうだったんだ。じゃあ紹介は簡単に。こちらは曽木政宗(そぎまさむね)さん。彼もここのティーチングプロで、元々はトーナメントプロとして活躍していた人なのよ」

「おい円歌、その話は」

「いいじゃない、本当のことなんだから。ゴルフがやりたくなったら、政宗さんに教えてもらうといいわ」

トーナメントプロ……。ゴルフの事を知らない私でも、その言葉はわかる。



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