絶対王子は、ご機嫌ななめ

寝ている人に『寝てるのか?』はないよね? でもそこが天然というか、政宗さんらしい。あまりにも可笑しくて、寝ているふりをしているというのに小さく笑ってしまった。

しまった! 起きてるのがばれちゃう!?

心の中でそう叫び政宗さんの動きを気にしていると、頭にふわっと優しい感触が落ちてきた。

「なあ柚子。そんな嬉しそうな顔して、どんな夢見てるんだよ」

そう言って政宗さんがソファーの前に腰を下ろす気配を感じると、ゆっくりとした動きで髪を撫で始めた。

政宗さん、私が夢を見て笑ったと勘違いしたみたい。寝ているふりをしているのがバレなかったのは良かったけれど、今置かれている状況はなに?

目を閉じているから政宗さんがどんな顔をしているのか分からない。でも声の感じからだと、ちょっと嬉しそう?

彼女でもない私の寝顔を見て嬉しそうなんて、政宗さんって本当に分からない人。

でも……。

何度も何度も髪を撫でられているうちに私も嬉しくなってきて、その気持ちよさに眠さが襲ってくると心地よく本当の眠りに落ちていった。



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