絶対王子は、ご機嫌ななめ
「政宗さん! いい加減からかうのはやめて下さい!……ッゴホッゴホッ!!」
「おい柚子。食うかしゃべるか、どっちかにしろ」
トーストを食べながら怒りむせてしまった私は、政宗さんからコップを受け取ると大急ぎで水を飲み干す。喉に詰まっていたパンが冷たい水と一緒に流れこむと、ふ~と大きく息を吐いた。
「朝から騒がしいやつだな、おまえは」
「騒がしいって! その原因を作ったのは政宗さんでしょ!」
「俺が悪いっていうのか?」
政宗さんはそう言って凄んでみせる。
ちょ、ちょっと怖いんですけど……。
目を細め睨まれると何も言えなくなってしまう私は、「あはは」と苦笑いで適当にごまかしてトーストをもう一口頬張った。
ベッドの上で私の許可無く勝手にキスしておいて、この偉そうな態度はどうしたものか。ここは一言『さっきはごめん』とでも言ってもらいたいところなのに、私のほうが負けてるなんて癪に障るじゃない!
納得がいかずトーストをかじりながら頬を膨らましていると、ひゅっと伸びてきた政宗さんの右手が私の頬をつついた。