絶対王子は、ご機嫌ななめ

「そう怒るなって。何なら、もう一度キスしてやろうか? 機嫌も直るだろ?」

なぜだか機嫌の良さそうな政宗さんは、そう言うと私の頬を摘んだり引っ張ったり弄びだした。

「もう本当に怒りますよ! もしまた勝手にキスしたら、絶交ですから!!」

まだ頬にある手をパンッと払いのけると、政宗さんを睨みつける。

「勝手にじゃなかったらいいのか?」

「政宗さんっ!!」

私の睨みなんて全く効いていないのか、余裕ありげに笑う政宗さんに向って大声を上げた。

「とにかく、黙って飯を食え」

黙らせたいなら余計なことは言わないでよ!と言いかけて、口の中にトーストをねじり込む。

ふぅ、間一髪セーフ。ここで文句を言い返せば、二倍三倍となって攻撃の嵐が襲い掛かってくるに決まってる。政宗さんの家に来てまで小間使い扱いは、まっぴらごめんだ。

ここはおとなしく……。

黙って朝食を全部平らげると、「ごちそうさまでした」と手を合わせた。



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