絶対王子は、ご機嫌ななめ

「お粗末さまでした」

政宗さんも食べ終わり席を立つと、皿やコップを片付け始める。

「後片付けは私がします。政宗さんは、新聞でも読んでゆっくりしてて下さい」

「そんなこと、おまえはしなくいい。毎日のことだし、慣れてる」

「いやいやいや、そういうわけにはいきませんよ。私はお客さんじゃないし、政宗さんに後片付けまでさせたらバチが当たっちゃいます」

政宗さんから食器を奪おうとして、彼の手に触れてしまった。

「あっ!」

ほんの少し触れただけなのに何をそんなに敏感になっているのか、慌てて手を引っ込めると食器がガチャリと音を立てた。

「す、すみません。お皿、割れませんでしたか?」

「そんなことはどうでもいいけど、なんだよ急に。どうかしたのか?」

「え? いや、なんでもありませんよ。どうしたんでしょうね~。あは、あははははは……」

はぁ~。なんて笑い方してんだ、私。

指が触れたくらい、キスに比べたらどうってことないじゃない。なのにあんな分かりやすい反応しちゃって、政宗さんのことを意識してるって丸わかりじゃなの!

ちらっと横目に政宗さんを見たけれど、何事もなかったかのように食器を持ってキッチンへと行ってしまった。



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