絶対王子は、ご機嫌ななめ
とんだ勘違い
「行きたくない……」
行ってきますと玄関を出て愛車に乗り込むと、エンジンも掛けずにフロントガラスから見える青空をボーッと眺めている。
空はこんなにも晴れ渡っているというのに、私の心の中は“曇り時々雨”状態。
昨日政宗さんの家を飛び出してから、スマートフォンには政宗さんから何度も電話やメールが来ている。でもどれもこれも無視し続けているから、きっと政宗さんはご立腹のことだろう。
「政宗さんが悪いんじゃない……」
そう思っていても、『大嫌い!』の言葉を残し身体を突き飛ばして来てしまったから、なんとなく後味が悪い。かと言って、いつまでもここでため息をついてるわけにもいかない。
渋々エンジンを掛けると、アクセルを踏み込んだ。