絶対王子は、ご機嫌ななめ
会社までの道のりって、こんなに近かったっけ?
行きたくない行きたくないと思っている時ほど、目的地にはあっという間に到着してしまうらしい。
何度ついたってどうしようもないため息をつくと、駐車場内に政宗さんの車があるのに気づいた。
政宗さんの仕事は始まりが遅いということもあって、私の出勤時間と少しずれている。だから私より早く出勤なんてことは、絶対にないはずなのに……。
「……なんでいるのよ」
その理由がわかるだけに、とっても気が重い。
政宗さんの車を横目に通り過ぎると、いつもの定位置に愛車を停めた。
車の中には、政宗さんの姿は確認できなかった。と言うことは、中で私を待ち構えてるに違いない。
万事休す。もはやこれまで!! 逃げるのは諦めるしかなさそうだ。
だとしたら、わたしのできることはただひとつ。
『完全に無視を決め込む!』
うん、それが一番いい。政宗さんのためにも円歌ちゃんのためにも。そして何より、自分のためにも。