絶対王子は、ご機嫌ななめ
「プロツアーって……」
「うん。政宗さん、またプロゴルファーとしてやっていくみたい。っていうか挑戦かな?」
「で、でも、政宗さん……」
左手親指付け根の関節炎が、まだ治ってないんでしょ? なのにプロツアーに参戦なんて……。
「私のせいだ」
「柚子、何言ってるの?」
「円歌ちゃん、私、政宗さんに酷いこと言っちゃった」
力なく床に座り込むと、目から自然と涙が溢れてくる。
どうしよう……。今無理をして手が動かなくなってしまったら、政宗さんの今後がダメになってしまう。
私があんな酷いことを言ってしまったから、政宗さんは無理してツアー参戦を決めたに違いない。
その思いが次から次へと涙を溢れさせ、私を混乱させていく。
「柚子? 政宗さんと何があったの? ちゃんと説明しなさい」
円歌ちゃんはそう言って泣き崩れている私を立たせると、バイトの女の子に「ちょっと席外すから、ここよろしく」とフロントを任せ、私を休憩室へと連れて行った。