絶対王子は、ご機嫌ななめ

何なのよ、この展開!

しかも今回のプロツアーに政宗さんが参戦するのは前から決めていたことで、私が政宗さんに言ったことが原因じゃないと教えられて……

じゃあ私が今まで悩んでたのは、一体何だったの!

何がなんだか分からなくなって頭を抱えていると、ドアの方から笑い声が聞こえてくる。その声に振り向くと、頭をポリポリと掻きながら智之さんが立っていた。

「バレちゃったかぁ」

おどけた顔をしてそう言うと、私の隣に腰を下ろす。

「今の、どういう意味ですか?」

ぺたりと肩を寄せて座る智之さんから少し離れると、『バレちゃったかぁ』の言葉の意味を問いただした。

「ん? あぁ、意味ね。柚子ちゃん、僕が言った『あのふたり、やっぱお似合いだよなぁ』って言葉で、政宗さんと円歌ちゃんが付き合ってるって思っちゃったんじゃない?」

そうだ。思い出した!

「そうですよ! あの時の智之さんの言い方は、そうとしか取れませんでしたから」

「ごめん、ごめん。だってあの時の柚子ちゃん、すっごく心配そうな顔して政宗さんのこと見てるんだもん。そんなに政宗さんのことが好きなんだと思ったら、なんだか悔しくって。つい意地悪なこと言っちゃったんだ」



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