絶対王子は、ご機嫌ななめ
「円歌ちゃん、私、政宗さんに会いに行く。会いに行って、自分の気持ちをちゃんと伝えてくるよ」
「そうこなくっちゃ。政宗さんは今、静岡にある“天峰高原カントリークラブ”にいるわ。そうね、新幹線で浜松駅まで行って……」
「僕が車で送ってあげるよ」
智之さんは会議用のパイプ椅子を持ってくると、私の前で腰掛ける。その顔からはいつもの調子のいい感じはせず、いたって真面目そのもの。どうしちゃったの?と聞きたくなるような様子に、思わず吹き出してしまいそうになってしまった。
「何、その今にも笑い出しそうな顔は。僕だって反省してるんだ。柚子ちゃんの役に立たせて?」
ありがたい申し出だけど、智之さんと車内でふたりきりって本当に大丈夫?
なんて失礼なことを思いながら、チラッと円歌ちゃんの顔を見てみた。
「いいんじゃない? さすがに今の状況だと、いくら智之さんでも変な考えは起こさないでしょ」
「変な考えって、円歌ちゃんヒドいなぁ」
円歌ちゃんも同じことを考えていたことに、笑みが溢れる。
やっぱり円歌ちゃんには敵わない。政宗さんの恋人が円歌ちゃんじゃなくて、本当に良かった。だって、こんな素敵な女性に勝てるはずがない。