絶対王子は、ご機嫌ななめ
「智之さん。柚子のこと、よろしくお願いします」
「任せて下さい。僕の命に変えてでも、柚子ちゃんを無事に送り届けてみせます!」
って、おいおい! なんか話が大きくなってはないかい?
スマートフォンで“天峰高原カントリークラブ”を調べてみたら、そんなに遠くないことが分かった。車で二時間ちょっと?
私にしてみたら車の運転云々よりも、智之さん自体が心配です。
でも智之さん送る気満々だし、円歌ちゃんも私ひとりで行かせるのは心配らしい。
まだまだ世話のやける妹分でごめんなさい。
心の中でふたりに謝ると、ソファーから立ち上がる。
「智之さん、私なんかのためにすみません。よろしくお願いします」
智之山に向かって頭を下げると、その肩にふわりと手が乗せられた。
「全然、気にしないで。いやぁ~柚子ちゃんとドライブができるなんて、僕は幸せだなぁ」
その言葉を聞いて、私と円歌ちゃんが顔を見合わせたのは言うまでもない。