絶対王子は、ご機嫌ななめ

  現在と過去


ゴルフ練習場のフロントの、主な仕事内容はと言うと。

お客様の受付対応や、施設利用料などの精算業務。ゴルフスクール入会の受付対応や郊外にあるゴルフクラブの受付対応と様々。

時にはフロント横にあるゴルフショップやレストランのレジを手伝ったり、隣接するスポーツクラブのフロントに入ることもあるそうだ。

円歌ちゃんに指導を受けながら午前中の業務を終えバイトの女の子と交代すると、ポンと肩に手が置かれた。

振り向けば、円歌ちゃんがニコリと笑っている。

「橘さんはお昼休憩の前に、政宗さんのところに行ってきてね」

「え? 今からですか?」

「そう今から。この時間なら休憩室にいると思う。早く行かないと、どうなるから知らないわよ」

どうなるから知らないって、一体何が起こるというの? そんなこと言われた、怖くて足がすくんでしまう。

「取って食われるわけじゃないから、頑張っていってらっしゃい」

円歌ちゃんはそう言うと、自分だけ休憩室に行ってしまった。

なんて薄情なの円歌ちゃん!!

でもいつまでも、ここに立っているわけにもいかない。お昼休憩の時間は決まっている。早く政宗さんのところに行って用事を済ませ、昼ごはんを食べなくては。

それにしても、なんだか厄介なことになりそうな予感。

はぁと大きなため息をつくとくるりと踵を返し、足早に休憩室へと向かった。



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