絶対王子は、ご機嫌ななめ

  嬉し涙を流すとき


決勝ラウンド、最終日。

社長の粋な計らいで、智之さん、それに円歌ちゃんも一緒に政宗さんの応援に行けることになった。

そんな私は、朝から身支度に余念がない。

今日こそ、政宗さんに告白する──

だったら、一番に綺麗な自分で政宗さんに会いたい。それが女ゴコロってものでしょ?

こんな日のため?に買っておいた“勝負下着”を付けて、一番お気に入りの服を着る。

って“勝負下着”は必要ないか……。でもまあ今日は勝負っちゃ勝負の日だから、気合を入れるためにも付けていこう。

メイクはいつもより丁寧に。でも私らしく明るめのメイクを施すと、緩くカールした髪をひとつに纏めた。

「うん、これでよしっと。柚子、今日は頑張るのよ!」

鏡に映る自分に発破をかける。

「柚子ー、円歌ちゃんが来たわよー」

お母さんの声に時計を見れば、さすがは円歌ちゃん。お迎えの時間ピッタリ。

「はーい、今行くー」

大きな声で返事を返しベッドの上にあるバッグを掴むと、勢いよく部屋を飛び出した。



< 166 / 222 >

この作品をシェア

pagetop