絶対王子は、ご機嫌ななめ
嬉し涙を流すとき
決勝ラウンド、最終日。
社長の粋な計らいで、智之さん、それに円歌ちゃんも一緒に政宗さんの応援に行けることになった。
そんな私は、朝から身支度に余念がない。
今日こそ、政宗さんに告白する──
だったら、一番に綺麗な自分で政宗さんに会いたい。それが女ゴコロってものでしょ?
こんな日のため?に買っておいた“勝負下着”を付けて、一番お気に入りの服を着る。
って“勝負下着”は必要ないか……。でもまあ今日は勝負っちゃ勝負の日だから、気合を入れるためにも付けていこう。
メイクはいつもより丁寧に。でも私らしく明るめのメイクを施すと、緩くカールした髪をひとつに纏めた。
「うん、これでよしっと。柚子、今日は頑張るのよ!」
鏡に映る自分に発破をかける。
「柚子ー、円歌ちゃんが来たわよー」
お母さんの声に時計を見れば、さすがは円歌ちゃん。お迎えの時間ピッタリ。
「はーい、今行くー」
大きな声で返事を返しベッドの上にあるバッグを掴むと、勢いよく部屋を飛び出した。