絶対王子は、ご機嫌ななめ


政宗さんから目が離せない。

16番ホールでホールインワンを出しトップに踊りでたまま、二位の選手と一打差を保ち最終ホールを迎えている。

18番ホールはパー4のミドルコース。

政宗さんからは、もうなんの緊張も感じられない。あるのは、自信に満ちた瞳だけ。

だからなんの不安もないんだけれど、最後まで何があるかわからないのがプロの世界なわけで。

グリーンに一番近い場所を陣取り祈るような思いで政宗さんのショットを見守っていると、政宗さんのボールは二打目でグリーンに乗ってきた。

またしても湧き上がる歓声。

小さかった政宗さんの姿がだんだんと大きくなってきて、その顔がハッキリと見える。専属キャディーと話す姿は、いつになく穏やかそうだ。

「なんかドキドキするね」

円歌ちゃんが興奮気味で話せば、

「僕のほうが緊張してきた」

と、智之さんが私の手をギュッと握る。

残すパットの距離は2メートル。

これを入れれば政宗さんの優勝が決まると思うと、胸の高鳴りを抑えることができなくなってしまう。



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