絶対王子は、ご機嫌ななめ

その嬉しさを智之さんと抱き合い感じていると、不意に身体が引っ張られる。

「うわっ!」

何事だ!と身体のバランスを崩しながらも顔を上げると、そこにはムスッとした顔をした政宗さんがいた。

「何やってる?」

「はい?」

「なんで智之と抱き合っているんだと聞いている」

今さっきまでグリーンにいた政宗さんが、いつの間にここへ? しかも私、政宗さんに抱きしめられちゃってる?

ギャラリーは、てんやわんやの大騒ぎ。横では円歌ちゃんと智之さんまでもが、手を叩いて喜んでいる。

「ま、政宗さん? これはちょっとマズイんじゃないでしょうか?」

「何が?」

「人前でハグは……」

「おまえも智之としてただろ。なんで俺とはマズイんだ?」

だからそれは勘違いなんですけど……。

呆れてものが言えなくなってしまった私をおとなしくなったと勘違いでもしたのか、政宗さんは私の身体をすっぽり腕の中に包み込んでしまう。

あれ? でもそれって、世間でよく言う“ヤキモチ“ってやつじゃありません?

あの政宗さんがヤキモチ!? しかも私に? 嘘でしょ!!

こんなところで抱かれるのはちょっとと思っているのに、顔のニヤつきが止まらない。

また愛おしさが募り自分からも政宗さんに抱きつくと、背中側から智之さんの心配そうな声。



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