絶対王子は、ご機嫌ななめ
「『為せば成る、為さねばならぬ何事も』なんてことわざもあるくらいだし、政宗さんに身を委ねてみれば?」
「そんなもん?」
「そんなもんよ」
上目遣いに円歌ちゃんを見れば、ニコニコの笑顔を見せている。
為せば成る……か。
処女の私ができることなんて、たかが知れている。雑誌や小説からの知識しかないんだから、無駄な努力はやめておこう。
円歌ちゃんに向ってうんと頷くと、身体を離してグリーン上に目を戻す。
「あ……」
するとちょうど、テントから出てきた政宗さんが視界に入ってきた。
突然高鳴る心臓に、一瞬目を閉じる。
でもすぐに開けると、眩しいくらいの笑顔を見せる政宗さんに目を奪われてしまった。
私に見せてくれるようになった笑顔とはまた違う顔に、政宗さんの喜びが窺える。
近くにいるのは、仲間のゴルファ-だろうか。ひとり、またひとりと政宗さんに近づいてきては祝福するように抱き合い、表彰式のために用意された椅子に腰掛けていく。
最後に政宗さんが椅子に座ると、司会者らしき人が司会者台の前に立ち表彰式が始まった。