絶対王子は、ご機嫌ななめ

「『為せば成る、為さねばならぬ何事も』なんてことわざもあるくらいだし、政宗さんに身を委ねてみれば?」

「そんなもん?」

「そんなもんよ」

上目遣いに円歌ちゃんを見れば、ニコニコの笑顔を見せている。

為せば成る……か。

処女の私ができることなんて、たかが知れている。雑誌や小説からの知識しかないんだから、無駄な努力はやめておこう。

円歌ちゃんに向ってうんと頷くと、身体を離してグリーン上に目を戻す。

「あ……」

するとちょうど、テントから出てきた政宗さんが視界に入ってきた。

突然高鳴る心臓に、一瞬目を閉じる。

でもすぐに開けると、眩しいくらいの笑顔を見せる政宗さんに目を奪われてしまった。

私に見せてくれるようになった笑顔とはまた違う顔に、政宗さんの喜びが窺える。

近くにいるのは、仲間のゴルファ-だろうか。ひとり、またひとりと政宗さんに近づいてきては祝福するように抱き合い、表彰式のために用意された椅子に腰掛けていく。

最後に政宗さんが椅子に座ると、司会者らしき人が司会者台の前に立ち表彰式が始まった。



< 187 / 222 >

この作品をシェア

pagetop