絶対王子は、ご機嫌ななめ

「ステージ!?」

「そう」

「そ、そうって政宗さん! あんなところに私を連れて行って、何するつもりですか?」

「黙ってついて来れば分かる」

だから、先に教えて欲しいんだって!

なんて言ったって教えてくれるわけないし。このままじゃ、グリーン上の時の二の舞いじゃない。

この後ステージ上で、どんなことが起きるのか。

不安すぎるんですけど……。

そしてその不安は見事的中。

政宗さんは私をステージ上まで無理やり連れて行くと司会者からマイクを奪い取り、ゴホンと咳払いをしてから話し出した。

「みなさま、おくつろぎのところを申し訳ありません。ご報告があるので、少しお時間を頂きます」

ご報告? 私をここに連れてきて、何を報告するっていうの?

心当りがない私は、政宗さんを見上げると小首を傾げる。

すると私の視線に気づいた政宗さんは肩を抱き寄せ優しい笑みを見せてから、前を見据えた。

「この度わたくし曽木政宗は、この隣にいます橘柚子と結婚することにいたしました」

政宗さんの発言に、会場内は最高潮に盛り上がる。

テレビカメラやリポーターも集まってきてしまい、ステージの前は人でごった返し始めた。



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