絶対王子は、ご機嫌ななめ

「政宗さん! そんな冗談言って、どうするつもりですか?」

「誰が冗談なんて言ったんだ?」

「だ、だって政宗さん今、私と結婚するって……」

この耳で、今確かに間違いなく聞いた“結婚”という言葉に、動揺が隠せない。
だってそうでしょう?

政宗さんとは既にいろんな経験をしてきているとはいえ、本当の意味で心が通じあったのも恋人同士になったのも今朝のこと。なのに、純粋に彼氏彼女が楽しむようなことを全部すっ飛ばして結婚って!?

これが冗談じゃなかったら、なんだって言うの?

でも政宗さんは顔色一つ変えず、いつもの仏頂面でグイッと私の顔を覗きこんだ。

「嫌なのか?」

「は? 何がですか?」

「俺と結婚するのが、だ」

なんでそんなに機嫌が悪いの?と聞きたくなるような顔で迫ってくるから、気後れしてしまう。

「そ、それは……」

「早く答えないと、ここでキスするけど?」

「な、なに言っちゃってるんですか、政宗さ……んっ!?」

って! なんでもうキスしちゃってるんですか、政宗さん!!

こんな人前でキスするなんて、どう考えたっておかしいでしょ?

ほら、カメラマンがみんな写真をパシャパシャ撮ってますよ! 明日のスポーツ新聞の一面に、キスシーンがどーんと載っちゃいますよ!!

恥ずかしいじゃないですか……。



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