絶対王子は、ご機嫌ななめ
この後どこに行ってどうなるのか……。
そのことを考えると、不安? 期待? 色んな感情が自分の中に現れて落ち着かない。
その感情は車の助手席に座らされると、密室という空間だからか一気に加速していった。
もう何度も乗ってるでしょ? 何ドキドキしちゃってるの?
自分にそう言い聞かせてみても、一度高ぶってしまった感情は簡単には収まってくれそうにない。
と不意に、運転席から伸びてきた手が頬に触れる。
声までは出なかったものの身体が大きく跳ねて、自分でも驚いてしまう。
「何だ、緊張してるのか?」
こんな時、歳の差や経験値を痛感させられる。
もう二十二歳なのに恋愛スキルが全くない私と、三十歳で大人の政宗さん。普段一緒にいるときにはあまり感じない歳の差を、まじまじと見せつけられているようで悔しい。
とは言え、私がどう頑張ったってその差を埋めることは到底出きっこなくて。
「緊張なんてしてません!」
と、子どもじみた事を言ってしまうだけ。
「おまえはホント、意地っ張りだよな。もっと素直になればいいのに」
「意地っ張りで悪いですか? 今更性格なんて、変えられないですよ」
「そうか。じゃあ俺が変えてやる」