絶対王子は、ご機嫌ななめ
「お、俺がって……」
そんなの無理でしょ? って思うのに、政宗さんの横顔は自信満々で。
「何か問題でも?」
なんて、運転しながらも強気な発言。
「いえ、別に」
今何を言ったって、負けるに決まってる。だったらここは素直に、おとなしくしておくほうが賢明だ。
助手席にちゃんと座り直し前を向く。すると、ホテルの灯りが目に入ってきた。
「俺が泊まってるホテル」
「……はぁ、そうですか」
ツアー中ひとりで泊まっていたホテルに、今日はふたり。ホテルの人達は、どう思うんだろう。
頭の中でイヤらしい妄想を繰り広げ、ひとりプチパニック。そういう経験はないのに情報だけは無駄に入ってるから、ひとりで赤面。
朝の流れからこういう展開になるんだろうなとは、薄々思っていたけれど。いざ現実になってしまうと、怖くなって逃げ出したくなってしまう。
でもそんなこと、今更できるわけもなく。車がホテルの正面玄関に到着すると、ドアマンが来てドアを開けてくれた。