絶対王子は、ご機嫌ななめ

「どうした?」

ゆっくり顔を上げれば、まだ髪の濡れているシャワー上がりの政宗さんが立っている。

「政宗さん。ワイドショーで私たちのことが放映されてますよ」

「だろうな」

「だろうなって。政宗さん、知ってたんですか?」

「ああ、昨日連絡あったからな。なんだ、放映されてマズイことでもあるのか?」

「マズイことって……。私は政宗さんと違って、素人の一般市民ですよ。これじゃあ恥ずかしくて、明日から外歩けません」

半分涙目でそう訴えると、政宗さんは私の腕を掴みグッと引き上げ強く抱きしめる。

「何も心配するな。どんなことからも俺が守ってやる」

「うん」

「これからは、ずっと一緒だ」

政宗さんはそう言うと、私の唇に誓いの証を落とす。

それは今までのキスの中で、一番甘く優しいキス。

触れるだけのキスなのに、たったそれだけで身体中が安心感に包まれた。



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