絶対王子は、ご機嫌ななめ

よし。今日こそは、政宗さんに文句を言ってやる。そして、奪われた自由を取り戻さなくっちゃ!!

やる気満々、意気揚々と政宗さんのところへ向かったけれど。

「俺の予定は俺の予定。おまえの予定も俺の予定」

なんて、どこかで聞いたようなセリフを言われ、あっけなく幕を閉じた。

意味わかんないんですけど? 私の予定も政宗さんの予定なんて、どう考えたっておかしいでしょ?

全然納得いかなくてひとりブツブツ呟いていると、首筋に何かが触れるのを感じて肩をすぼめた。

「そう怒るな。柚子と昼飯食うようになってから、ひとりで食うと味気ないんだよ」

ちょ、ちょっと。一体どうしちゃったっていうの!?

いきなりそんな、母性をくすぐるようなこと言っちゃって。反則でしょ!!

しかも今、“柚子”って呼ばなかった? さっき更衣室に来た時までは間違いなく“ジャム”だったのに、どういう風の吹き回し?

そりゃジャムなんて呼ばれるより、名前で呼ばれる方がいいけれど。でもちょっとこっ恥ずかしいと言うか、むず痒いと言うか。

彼氏彼女チックで、どうしたものかと反応に困ってしまう。

政宗さんのこと諦めようと思っていたのに、諦らめられなくなっちゃうじゃない……。
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