絶対王子は、ご機嫌ななめ
「悪かったな、嫌な思いをさせて」
「いえ、大丈夫です」
そう強がって言ってみたけれど。政宗さんは私の頭に手を乗せると、愛想のない顔のままポンポンとなでた。
どうやら政宗さんには、緊張していたのがバレてたみたい。
なんとなく恥ずかしくなって俯くと、頭上からフッと笑い声が聞こえた。
政宗さんが笑ってる?
まさかと思い顔を上げて見たけれど、政宗さんの顔はやっぱり愛想のないままで。
私の聞き間違いだったのかもとため息を漏らすと、カウンターに向かいお茶の準備を始めた。
「今日は銀だらの西京みそ焼き弁当か」
「ホントですか。私、銀だら大好きなんです! わあぁ、熱っ」
よそ見をしながらお茶を淹れていて、ポットのお湯を直接手に掛けてしまう。
「大丈夫かっ!!」
政宗さんは、右手の甲を押さえてうずくまる私に慌てて駆け寄ると、その手を取って蛇口の水を患部に当てた。
「何やってんだ。すぐに冷やさないと、痕が残るだろ」
「すみません……」
政宗さんに怒られて悲しいのと、やけどした手が痛いのとがごちゃまぜになって、涙が出てきた。