絶対王子は、ご機嫌ななめ

私は政宗さんのことが好き。政宗さんの恋人になれたらいいなぁ……とは思っているけれど、それはふたりの気持ちが通じ合えばのことであって、“責任“で一緒になるなんて悲しすぎる。

一体政宗さんは、どういうつもりでそんなことを言ってるの?

怒りにも似た感情から政宗さんに持たれている手を自分から離すと、休憩室のドアに向かって歩き出す。

「柚子? どこ行くんだ?」

「ちょっと円歌ちゃんのところに行ってきます。今日はお弁当、ひとりで食べてくださいね」

「円歌? ああ、あいつなら安心だ。早く手当してもらってこい」

円歌ちゃんの名前を出した途端、ホッとした顔しちゃって。何が『あいつなら安心だ』よ。人の気も知らないで……。

「もう、政宗さんなんて知らないっ!」

そう言い残すと、政宗さんの顔も見ないまま休憩室を飛び出した。



< 49 / 222 >

この作品をシェア

pagetop