絶対王子は、ご機嫌ななめ
なんて心配は、する必要なんてなかったみたい。
どう向き合うも何も、政宗さんは私が過去のことを知ったと知らないわけで。相変わらず傲慢な態度で、私のことを召使いのようにこき使われては、そんなこと考える暇すらなかった。
でも全然嫌じゃなくて。政宗さんの一番近くにいられることに、今まで以上の喜びを感じてしまっていた。
昔のことを知ったからの同情じゃなく、だからこそ純粋に政宗さんのことをもっと知りたい、そしていつの日か本当の政宗さんに会いたい。呼び戻してあげたい……。そう思うようになっていた。
こんなこと思うのは、生意気なのかもしれない。
だってまだ、政宗さんと円歌ちゃんの関係も分かってないし、円歌ちゃんに対してほど心を開いてくれているとも思えない。
そんな私が偉そうに、“本当の政宗さんを呼び起こす”なんて、一体何様だって話だ。
「でも好きだから、しょうがないよね」
───ガシャン!
政宗さんに買ってこいと言われた缶ジュースを自販機から取り出すと、彼の元へと足早に向かった。