絶対王子は、ご機嫌ななめ
顔を見てしまえば嫌でも男子ロッカールーム前でのふたりの姿を思い出してしまう。だから、良かったといえば良かったんだろうけれど。
でもまだ今もふたりが一緒にいるのかと思うと、それはそれで良くなくて……。
って、この期に及んで何を言ってるんだろう私。
もうふたりが付き合っていることは明白。なのに今更、往生際悪い事を言ったって、どうしようもないでしょ!
分かってる! 分かってるけど、それでも嫌なもんは嫌!
『はい、そうですか。お幸せに』なんて、ふたりを祝福できない。政宗さんを好きな気持ちは、そう簡単に変わらないよ。
ふたりの私が心の中でせめぎ合って、胸が苦しい。
「帰ろ……」
ここでどうこう考えるより、早く家に帰ってお風呂に入ろう。そして早く寝ちゃえば、何もかも忘れられる……。
のそりと立ち上がると着替えを済ませ、ロッカールームを出た。