絶対王子は、ご機嫌ななめ
あぁ、この勢いでコケたら痛いだろうなぁ。大怪我間違いなしだ。
失恋は決定的なのにその失恋相手の鬼に追いかけられるなんて、今日の私はなんてツイてないんだろう……。
地面にたたきつけられるまで数秒間。人っていろんなことを考えられるもんなんだと、これまた感心しながら痛みが襲ってくるのを身体に力を入れて待ち構えていると、その時はあっけなくやって来た。
ザザザーッ!! と派手に音を立てながら、見事に大転倒。
しかもこんな日に限って穿いていたのはミニスカートで、膝小僧打ちつけながら地面を滑るように転んだ私の足は悲鳴をあげていた。
「痛い……」
他にも肩や手、顎も打ったみたいで、あちこち痛む。
「おい、大丈夫か!?」
政宗さんがそう聞いてくるけど、痛みで何も答えられない。
「ったく、だから言わんこっちゃないんだ。止まれって言っただろ」
頭上から降ってくるのは、政宗さんの呆れ声。
だから! 政宗さんが追ってこなければ、止まるって言ったじゃない!!
それなのに鬼の形相で追いかけてきたりするから、こうなっちゃったの。そこんとこ、どうして分からないかなぁ~。
と言いたくても、顎の痛みが酷くて口を動かすことすらできない。