絶対王子は、ご機嫌ななめ
第四章

  最低なこころ


「全治二週間から三週間ってとこだな」

先生は私にそう言うと、政宗さんに向き直る。

「おまえって、いつもなんの連絡なしに来るよな。いい加減迷惑だ」

迷惑とは言ってるものの、先生の顔は大して迷惑そうではなくて。これはかなり深い間柄のようだ。

「なんで康成(やすなり)に、わざわざ連絡してから来なくちゃいけない。いつどんな時でも診察するのが、おまえの使命だろ」

「政宗、おまえにだけは言われたくないね」

先生がそう言うと、ふたりは顔を見合わせて笑い出した。

うわ。政宗さんのこんな風に笑う顔、初めて見た。円歌ちゃんに見せるのとまた違って、全部をさらけ出して笑ってるというか。

ちょ、ちょっと可愛いじゃないの……。

昼間に円歌ちゃんとの逢瀬を見たというのに、私も何考えているんだか。自分で自分が、分からなくなってきた。
政宗さんと康成先生がいることも忘れて、はあ~と大きなため息をついてしまう。

「どうした柚子? 気分でも悪いのか?」

心配そうに私の顔を覗き込み政宗さんと目が合って、ここが病院の診察室だったことを思い出す。




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