絶対王子は、ご機嫌ななめ
ヤ、ヤバい。これは何かあったと、勘ぐられてる?
慌てて目線をそらすと、顔を見られないように俯いた。
「おい康成、なんだエロいことって。柚子に変なコト言うなよな」
「はいはい、分かりましたよ。今から薬の準備するから、ちょっと待っててくれ」
康成先生が診察室から出て行くと、静寂の時間が訪れる。
なんか、とっても気まずい空気なんですけど……。
元々政宗さんは寡黙でペラペラ喋るタイプじゃないし、ここはいつもの休憩室じゃないから何かを命令されるわけでもない。
だったら私から何かを話すべき?
そうは思っても今ここで口を開けば、昼間のことを問いただしてしまいそうな自分がいた。
私は政宗さんの彼女でもなんでもない。ただの召使いか使用人。
そんな私の立場で、『ふたりは一体、どんな関係何ですか?』とは聞けない。もし聞けたとしても、政宗さんの口から『円歌は俺の最愛の人だ』なんて出てきたら、きっと私は一生立ち直れないだろう。
だから聞かない。いや、聞けない。