絶対王子は、ご機嫌ななめ

「全部、ホントの意味でとらえるなよ」

頭の上に乘せた手を二回バウンドさせると次の瞬間、政宗さんは何を思ったのか私の肩まで伸びた髪をくしゃくしゃと掻き乱した。

「ま、政宗さん! 言ってる意味もよく分からないし、やってることの意味も分かりません!」

政宗さんの手を払いのけ髪の毛を整えると、運転席の方を向いて彼を睨みつける。でも信号が青に変わり、政宗さんは平然とした顔で車を走らせてしまった。

「ホントは一緒に飯行こうと思って待ってたけど、今日はこのまま送っていく」

は? 飯に行こうと思ってた? 円歌ちゃんは? 用事でもあったのかな?

まあたぶん円歌ちゃんに断られて、それでしょうがなく私を待っていたということだろう。

でも昼間の一件を目撃してしまった私は、政宗さんの顔を見るなり逃げ出して、追いかけられた挙句に大転倒した……と言うわけだ。

なんとも情けない結末。

身体はアチコチ痛いけど、もうこうなったらヤケクソで食ってやる! 今日の晩御飯は何かなぁ……。

「……ああっ!!」

「ど、どうした!? いきなり大声出して」

忘れてた。今日から日曜日まで両親は旅行、お兄ちゃんは研修でいないんだった。



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