絶対王子は、ご機嫌ななめ
どうしてこんな大事なこと忘れてるかなぁ。私ひとりじゃん……。
こんな身体で御飯作る気力もないし、帰ってからコンビニに行くのも面倒。
仕事はちょうど休みで痛む身体には良かったけれど、また車がないからどこにも行けない。
普段だったらこんな時、円歌ちゃんに頼るところだけど。いかんせん、今日はそんな気にもなれず。
どうしたもんだとひとり悩んでいると、路肩に車を停めた政宗さんが私の頭を無理やり自分の方へと向けた。
「あぁ……」
あまりの顔の近さにおののく。
「逃げるな。何ひとりでブツブツ言ってんだ? 急に大きな声を出して、どうしたのかと聞いてるんだけど」
顔の近さもさることながら、そんな怒った顔されたら誰だって逃げたくもなるでしょ?
でもそんなことを言ったって、ここは車の中。逃げたところですぐドアにぶつかってしまい、政宗さんに引き戻されるだけ。
政宗さんから離れようとしていた身体の力を抜く。
私に抵抗の意志がなくなったのを感じたのか、政宗さんも私の頭を掴んでいた手を離した。
「で、答えは?」
──言わなかったらどうなるのか分かってるな?
政宗さんは目で、無言の圧力を掛けてくる。