絶対王子は、ご機嫌ななめ
あり得ない、あり得ない!!
政宗さんは、健全な日本男子。智之さんじゃあるまいし、いやらしい下着のコスプレさせて私を本当の奴隷のように扱うなんて……。
そんなことあるわけないっ!!
でも政宗さんは私の耳元に顔を寄せると、ふっと息を吹きかけた。
「柚子……」
名前を呼ばれただけなのに、それが妙に生々しくて、腰から砕けそうになる。でも何とかそれを食い止め、頑張って立つ続ける。
「な、なんでしょうか……?」
「好きな下着とパジャマ、五分以内に選んでこい」
「へ?」
政宗さんを振り返れば、さっさとしろと言わんばかりに腕組をして仁王立ちしている。
「へ?じゃない。早くしないと置いていくぞ」
「はい!」
元気よくそう叫ぶと、店内に駆け込む。
いくら薬が効いているからって、動けがアチコチ痛むというのに。そんな私を走らせるなんて。
この、鬼! 悪魔!
五分なんて、選ぶ暇なんてないじゃない!! 私だって女なんだから、下着にもこだわりってもんがあって……。
と、そこまで考えて足を止めた。