絶対王子は、ご機嫌ななめ

別に政宗さに見せるわけでもないのに、私ったら何言っちゃってんの。それに泊まるわけじゃないんだったら、下着もパジャマもいらないじゃない。

さっきまでの元気は一気にしぼんでしまい、とぼとぼと歩き出す。

「どうした?」

「私、どうしても政宗さんのお宅で世話にならないといけませんか?」

「もう決定事項だ」

「そうですか……。じゃあ円歌ちゃんには絶対に言わないでくださいね。余計な心配、掛けたくないんで」

「また円歌か? 円歌はおまえが俺んとこに泊まろうと、なんとも思わないだろうに」

さっきも言ったとおり、円歌ちゃんは寛大な人だからね。政宗さんの言うとおりなんだろうけれど。知らなくてもいいことだってある。

「とにかくです。言わないって約束して下さい」

「分かったよ。分かったから、早く選んでこい」

政宗さんの顔を見つめため息を漏らすと、クルッと回れ右をして店内に戻った。



< 92 / 222 >

この作品をシェア

pagetop