絶対王子は、ご機嫌ななめ
別に政宗さに見せるわけでもないのに、私ったら何言っちゃってんの。それに泊まるわけじゃないんだったら、下着もパジャマもいらないじゃない。
さっきまでの元気は一気にしぼんでしまい、とぼとぼと歩き出す。
「どうした?」
「私、どうしても政宗さんのお宅で世話にならないといけませんか?」
「もう決定事項だ」
「そうですか……。じゃあ円歌ちゃんには絶対に言わないでくださいね。余計な心配、掛けたくないんで」
「また円歌か? 円歌はおまえが俺んとこに泊まろうと、なんとも思わないだろうに」
さっきも言ったとおり、円歌ちゃんは寛大な人だからね。政宗さんの言うとおりなんだろうけれど。知らなくてもいいことだってある。
「とにかくです。言わないって約束して下さい」
「分かったよ。分かったから、早く選んでこい」
政宗さんの顔を見つめため息を漏らすと、クルッと回れ右をして店内に戻った。