絶対王子は、ご機嫌ななめ

『どうせこの後も使うんだから自分で買います』『俺が勝手に連れて行くんだから俺が払う』と一悶着あったものの、結局下着を2セットとパジャマを一着買ってもらってしまった。

彼氏でもない人に、こんなものを買ってもらうことになるなんて……。

手に持つ袋を眺めると、今日何度目かのため息をつく。

「疲れたか?」

政宗さんはそう言いながら私が手にしていた袋を取り上げると、カートの中に放り込む。

相変わらず乱暴なんだから……。

ここに来てからそんなに時間を要していない。なのにこんなに疲れているのは、怪我をしてるから?

いいや、原因は目の前の政宗さん、あなたですよ。

これが恋人同士の買い物デートだったら、疲れてこんな気持ちになることもないんだろうなぁ。

やっぱりため息をついていると、目の前にスッと見たことのあるショッパー現れた。

「これ、買っておいたから」

仏頂面の政宗さんが、ぶっきらぼうにそう言う。



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