絶対王子は、ご機嫌ななめ

そんなことを考えながら、意を決してふかふかのソファーの一番隅っこに腰を下ろしてみたものの。やっぱり落ち着かない。

まるで田舎から都会へと出てきたお上りさんのように、きょろきょろと室内を見回しては肩をすぼめた。

「何小さくなってるんだ? コーヒー飲むだろ? もっとこっちに座れ」

政宗さんは手にしていたコーヒーカップをテーブルの上に置くと、私を手招きする。せっかく淹れてくれたコーヒーを飲まないわけにもいかず、少しだけ腰を浮かせるとちょこちょこと政宗さんに近寄った。

「ありがとうございます」

「今すぐ夕飯の用意するから、ちょっと待ってろ」

そう言って一口だけコーヒーを飲むと、政宗さんはキッチンへと行ってしまった。

いくら怪我をしているからといって、女の私がなにもしないわけにはいかなよね? もうすでに服や下着も買ってもらって面倒を見てもらってるんだから、食事の支度ぐらい手伝わなくちゃ。

ゆっくり立ち上がり、ひょこひょこと歩いてキッチンに向かう。カウンター横の壁から顔だけ出すと、政宗さんに声を掛けた。



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