熊と狩人


その日は空が灰色にくもっていた。黒く焦げた地面に霜がおりている。焼けた葉のかすが、ゆっくりと風に舞っていた。


森は暗い静寂に包まれていた。


生き物の気配が、なくなっている。


朝、川沿いで、偶然に会った熊と狩人は、互いに目を見張った。







熊は、狩人の妹の死体を口にくわえていた。







狩人は、雌熊の死体を縄でしばってひきずっていた。








重い沈黙がただよった。



冷たい風が通りぬけた。




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