熊と狩人
熊は、狩人のひきずっているものが一瞬何だかわからなかった。それが妻である雌熊の死体だと気づくと同時に、硝煙の臭いをかぎとった。それは狩人が使っている猟銃のものだった。
狩人も、熊の口にくわえられたものが、一瞬何だかわからなかった。それが、大切な妹の死体だと気づくと同時に、死体の顔に爪あとを見つけた。それは間違いなく、熊のものだった。
熊は咆哮をあげて駆け出した。
狩人も雄叫びをあげて、猟銃をかまえた。