ピースオブメモリーズ
覚えて……ない。



誰だ、この人。





でも、見たこと、ある。様な気がする。





「え。真面目に?」



「……真面目に。」






……………………………。








私の一言のせいか、しばしの沈黙。








「……そっか。ま、いいや。俺、結城時雨、な。」







_____ガツンっ






「……………っい!!!」








突如の激しい頭痛に、私は地面に手をついた。







私自身が、名前を拒否しているみたいだった。




「っおい!大丈夫か!」






急いで駆け寄ってきた時雨が私の肩に手を置いた。






すると、反射的に手を振り払ってしまった。





「や……めて………!!自分で……帰れ……るから……!」






路地が歪んで見えるなか、私はユラリと立ち上がった。





そして、身体を足で支えて走り出した。





酷い頭痛。




意識が朦朧とするなか、時雨が叫んでいるのが聞こえた。






「おい………まて!!危ねーだろーが!!!」






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