ピースオブメモリーズ
落ち着いた頃、時雨は立ち上がった。
「もー遅いから。寝ろよ。俺は帰るわ。」
私も立ち上がって、急いで追いつき、一階への階段を上がった。
ずっと座っていたから、足がズキズキする。
「こんな夜遅く、ごめん。」
「いーよ、来たの俺だし。」
玄関を抜け、外に出る。
冷たい夜の空気が、家の中に入ってきた。
見上げると、漆黒の空には冬の星座が瞬いていた。
「さみーな。じゃーまた、会えたら。」
「‥‥‥学校!!学校、どこ??」
目を見開いた時雨は微笑して、上着を着ながら言った。
「聖徳、聖徳西だ。」
あ、あそこのはずれの!!
「ありがと!またいく!」
歩き始めた時雨は、振り返らずに片手を上げた。
何故か胸が締め付けられた。
この感じ、やっぱり‥‥‥‥
「‥‥‥‥知ってるんだよ‥‥っ!!」
私の叫びは、夜の喧騒に消えてなくなった。